「医薬品は植物から始まった」薬草園で受けてきた授業まとめ

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薬膳勉強中のKYOです!薬草園の話が続きますが、「植物とくすり」という内容の授業を受けたので、今回はそのまとめです。

↓前回の記事はこちら。

「これがあの漢方薬になるのか!」薬草園はリアルな実感の宝庫①
初めての薬草園へ行ってきました。イメージのわきにくい漢方薬の元となる薬草など、写真つきでご紹介します。
「これがあの漢方薬になるのか!」薬草園はリアルな実感の宝庫②
薬草園へ行ってきたレポ後半。生のなつめやクコの実などなど、漢方薬や薬になる植物を写真つきでご紹介します。
KYO
まとめも勉強のひとつ!

薬用植物とは

世界に存在する植物はおよそ30〜35万種。その中で、何らかの形で薬として使われてきた植物は、実に3万種に及びます。一方で、食用にされているのは1万種ほど。食用より、薬用として使われてきた植物の方が圧倒的に多いといえます。

薬用とされた植物の中から、多くの医薬品が開発されました。
現在まで利用されているものも多くあります。

「薬」とは

薬食同源という言葉もあるように、もともとは人間が身の回りにあった植物や動物、鉱物を使ってみて「これは病気に効果がある」と選び出したもの

原始人類が食材を探す過程で、治療作用のある食材を発見。また時代を経て「治療作用のある種類を複数配合すれば、治療効果が上がる」という経験を通して、薬として繰り返し使われるようになったと考えられます。

薬用植物の使われ方

薬用植物を「生」で使う例

植物 薬効
どくだみの葉(外用) 腫れ物
キダチアロエの葉の汁(内服) 消化不良、胃炎、便秘
キダチアロエの葉の汁(外用) やけど、傷、虫刺され
ビワの葉(外用) 湿疹、あせも、打ち身、捻挫
ショウブの葉・根茎(浴用) リウマチ、神経痛

このほかにも様々な植物、使い方が民間療法として知られています。

薬用植物を「生薬」として使う例


薬用植物を乾燥させたり、粉末にしたものを漢方薬(生薬)として利用します。ドラッグストアで買える一般的な医薬品の中にも、多くの生薬の粉末が配合されています。

市販薬の成分表を見ると、しばしば目につくのが生薬の粉末。カンゾウ末、ケイヒ末、ニンジン末、ショウキョウ末、ウイキョウ末などはすべて生薬の名前。「末=粉末にしたもの」という意味です。

民間薬と漢方薬の違いは?

漢方薬

原則として2種類以上の生薬を、決められた分量で組み合わせて作られたもの。中医学の理論に基づき、用いる条件も細かく定められています。日本では治療効果のある医薬品として正式に認められています。

民間薬
1種類の薬草だけを使用。病気やケガなどに対し、家庭で経験的に「これが効く」と使われてきたものなので、分量や用法などに基準がありません。

ドクダミを乾燥させて煎じたり(呼吸器系の炎症を鎮める)、葉を外用にする(化膿止めにする)など、経験知によって生まれた民間薬は世界各地で見られます。人々が植物を使う中で得た経験をベースに、理論的な解釈を加え、体系化されたものが漢方薬です。

薬用植物を「エキス」として使う例

漢方薬を水に浸けたり煎じたりして液状にした侵剤・煎剤、生薬をアルコールで浸出したチンキ剤、生薬の浸出液を濃縮したエキス剤などがあります。

例:養命酒など

医薬品の分類

医療用医薬品
病院や診療所などで、医師が診断して発行する処方せんに基づいて、薬剤師が調剤して渡される薬。処方薬ともいいます。

一般薬(一般医薬品)

薬局や薬店で、自分で選ぶことができ、誰でも買うことができる薬。市販薬、大衆薬、OTC医薬品などといわれます。(OTCとはOver The Counterの略:薬局のレジカウンターで買える薬 )

近代医薬品の誕生

10世紀のヨーロッパにおいて、化学(有機化学)と薬学(薬理学)の発展により、世界中の伝統的植物薬から、含有量が多く強力な作用を持つ化合物が続々と取り出されました。

モルヒネ
(1806年)
カフェイン
(1819年)
キニーネ
(1820年)
ニコチン
(1828年)
サントニン
(1830年)
アトロピン
(1831年)
コカイン
(1860年)
エフェドリン
(1887年)

植物の成分の利用法

植物成分をどのように医薬品(化合物)原料として使うのか?

  • ●有効成分そのものとしての利用
  • 有効成分として植物から取り出し、製品化する。
  • モルヒネ、コデインなど
  • ●リード化合物(医薬品のヒント)としての利用
  • 植物が作る有効成分を探索し、科学的に修飾することで安全性、有効性を高めた医薬品を作る。
  • ●合成原料としての利用
  • 植物が作る化合物を原料に、有機合成して作る。
  • 六角からタミフルの生成など

植物の有効成分から医薬品へ

セイヨウヤナギの木

世界で最初の医薬品・アスピリンのケース

古くはギリシャ時代から、西洋ではセイヨウヤナギの皮を煎じて飲むと熱が下がることがよく知られていました。紀元前400年ごろにはヒポクラテスが、樹皮を鎮痛や解熱に、葉を分娩時の鎮痛に使用していたという記述が残っています。昔からヤナギは鎮痛解熱に効果のある民間薬のように使われていたと考えられます。

セイヨウナツユキソウからサリシンが単離された

19世紀に入り、セイヨウヤナギの成分が調べられるうち、サリシンという物質が解熱や鎮痛に関係していることが判明。1827年には、セイヨウナツユキソウから純粋なサリシンが単離されました。1838年にはサリシンから、熱に効く成分サリチル酸が単離されます。これは鎮痛剤としても使われましたが、サリチル酸は胃が荒れるという欠点がありました。

そこでサリチル酸という天然物を、化学的に修飾することで改良したものが「アセチルサリチル酸=アスピリン」です。アセチルリチル酸は人類が最初に合成した医薬品であり、1899年にはアスピリンという名称で販売されました。アスピリンは世界初の医薬品であり、現在も世界中で愛用されています。

近年アスピリンは解熱鎮痛薬としてだけでなく、大腸ガンに対する予防効果や、アルツハイマー病、糖尿病などに対する効果などが期待され、研究が行われています。

マラリア特効薬・キニーネのケース

南アメリカの民間薬で「キナキナ」、インカの言葉で「樹皮の中の樹皮」と呼ばれるアカキナノキの樹皮から1820年にキニーネが取り出されました。塩酸キニーネとしてマラリア治療薬として現在も使われています。

クソニンジン

熱帯熱マラリアの特効薬・アルテミシニンのケース

アルテミシニンは熱帯熱マラリアの特効薬。ベトナムで多くの死者を出していたマラリアに対する薬が求められる中、1972年、中国の学者・屠呦呦(Youyou Tu)によって抽出されました。

屠氏はまず、漢方の古書や民間療法を徹底的に調べ上げ、伝統的な漢方の薬を調査。漢方薬では古くからヨモギ属の植物が解熱に使われていたことがヒントになり、クソニンジンにたどり着き、アルテミシニンが発見されました。

アルテミシンは、既存の薬剤が効きにくい熱帯熱マラリアに有効。その発見は熱帯病治療、発展途上国での健康増進を大きく前進させたといわれています。

まとめ

人間は長い間、身近な植物を試し、効果のあるものを薬として取り入れてきました。現在私たちが利用している医薬品には、植物原料のものや、植物の効能や成分が元になっているものも多数存在することがわかりました。あたらめて植物の持つ力を見直し、私たちの生活、医療に役立つ可能性を秘めているのではと感じました。

しかし製薬会社の薬草園の方のお話を聞くと、クソニンジンのように植物から新たな発見がされることは奇跡に近く、それが医薬品の実用化にまで至るケースはほぼ0に等しいとのこと。もし見つかれば大きな業績につながりますが、あまりに効率が悪いため、医薬品メーカーでは植物から新たな新薬を開発するような研究は行なっていないということでした(生薬メーカーなどは別) 。とても興味深かったので、創薬関係の本も一度読んでみようと思います。

KYO

今回は薬膳とは少し違った
専門的な話になってしまいましたが
参考にしていただけたら幸いです!


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