冬至は陽が生まれる日。冬本番を元気に乗り切る風習

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毎年12月20日ごろは冬至です。冬至といえば、北半球で太陽が最も遠ざかり、昼間の時間が最も短くなる日です。今日はこの冬至と食べ物についてまとめたいと思います。

冬至の始まり

「冬至」は、中国で作られた暦、「二十四節気(にじゅうしせっき)」のひとつ。2021年の冬至は12月22日水曜日です。

かつて二十四節気は冬至を始まりとして作られ、冬至をお正月、新年の到来として祝っていた時代もありました。

↓二十四節気は中国古代に作られた太陽暦です。中国は暦の先進国だったんですね。

薬膳を学ぶ上で欠かせない!二十四節気って何?
薬膳を学ぶにあたって避けて通れない「二十四節気(にじゅうしせっき)」についてまとめようと思います。二十四節気は昔から生活に使われてきた暦ですが、薬膳・中医薬の分野でもよく利用されます。

この日を境に陰が減り、新しい陽が一つ生まれることから「新しい太陽の誕生日」「一陽来復いちようらいふく」などと言われます。中国に限らず、冬至を祝う冬至祭は各民族に伝わっています。クリスマスもその一つ。キリスト教が北欧に伝わった際、その地の冬至祭と習合したものと考えられています。

日本での古い冬至祭は、陰暦11月下弦の日(23日ごろ)の「大師講(だいしこう)」で、もともとは大子(おおいこ)と呼ばれる神の子が村里にめぐってきて春が立ち返るという言い伝えが、地方によって後に弘法大師などに結びついたといわれています。

冬至の風習

さて、冬至は陰陽でいうと一年で陰が最も強くなる日です。陰が最も強い=一番寒い日というイメージがありますが、実際に寒くなるのは1〜2月。そこで「冬至冬なか冬はじめ」ともいい、冬対策の準備を始める日でもありました。そんな暮らしのなかから生まれたのが、健康を願って行う冬至の風習です。

ゆず湯

ゆず湯は冬至風呂ともいわれ、ゆず=融通がきく、冬至=湯治と語呂合わせで縁起をかついだ風習ですが、もともとは禊の儀式だったと考えられています。ゆずを小さな太陽に見立て、強い香りで邪気をはらう意味もあったようです。

ゆず湯のひと手間

柑橘の皮に含まれる「リモネン」にはリラックス効果や消臭効果、保温効果などがあるので、お風呂におすすめ。生のままお風呂に入れると肌に刺激を感じる場合、皮だけをしっかり天日干しすることでピリピリしにくくなるともいわれます。

冬至の食べ物

ダブルの「ん」で運気アップ

日照時間が最も短い冬至は、冬を元気に乗り切れるようにと縁起のよい食べ物を食べる風習があります。中でも知られているのが「運がつく」とかけて「ん」のつく食べ物です。

なんきん(かぼちゃ)、れんこん、にんじん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うどん(うんどん)はいずれも「ん」が2つつくことから、運気アップ効果アリとか。
かぼちゃで気力をつける

栄養豊富なかぼちゃは、冬至にぴったりの食べ物。夏野菜ですが、冬まで保存がきくので江戸時代ごろから冬至の食べ物として重宝されたといわれています。

  • ◆かぼちゃ
  • 五気六味:温性・甘
  • はたらき:胃腸の機能を高めて気を補う。疲れ、食欲不振、むくみ、下痢などに

薬膳的に見てもかぼちゃは温性で体をあたため、胃腸の働きを補っておなかに気力をつけてくれます。冬に取り入れたい野菜ですね。

冬至に小豆パワー

日本の一部では、冬至に小豆を食べることがあります。赤飯などお祝いに欠かせない小豆は、薬として用いられてきたとともに、赤い色が太陽や火、血といった「生命」を象徴し、邪気や厄を払う力があると信じられていました。

  • ◆小豆
  • 五気六味:平性・甘酸
  • はたらき:利尿作用でむくみを解消、胃のもたれ、下痢、体の内外の毒素を解毒する

小豆は豆類の中でも利尿作用に優れているほか、解毒作用があるので膿を出したり、熱による皮膚病にも◎。栄養学的にはポリフェノールが赤ワインの1.5~2倍も含まれています。

あずきとかぼちゃの塩煮

冬至にぴったり、小豆とかぼちゃの塩煮を作ってみました。胃腸の機能を高める健脾作用で胃腸の元気を補って、胃腸が弱く、むくみやすい人に役立ちます。

「いとこ煮」としてもよく知られた定番料理ですが、味つけは塩だけでシンプルに仕上げます。

「小豆はむくみにいいよー」と言うとみんな「えっ!あんこ大好き♪」となるのですが、砂糖は湿(水分)をためやすいので、むくみのためには砂糖を使わないか、使っても砂糖の量を減らすのがおすすめです。

小豆とかぼちゃの塩煮

  • 小豆…150g
  • かぼちゃ…400g
  • 水…6カップ
  • 細切り昆布…少々
  • 塩…小さじ1
  • ①小豆は水洗いする。鍋に小豆と水4カップを入れ、40〜50分ほど弱火で煮て、一度煮汁と豆を分ける。(煮汁は捨てない)
  • ②小豆を鍋に戻し、食べやすく切ったかぼちゃ、小豆、水2カップ、塩、昆布を入れて20分ほど煮る。

甘くない小豆はちょっと意外な味ですが、かぼちゃの甘味があるのでおいしく食べられます。小豆の素材本来の味わいも楽しめますよ。

小豆のゆで汁には栄養がたっぷり。尿が出にくいときにはこのゆで汁が最適とされています。味つけする前の煮汁は捨ててしまうことが多いですが、体のむくみ改善にぴったりなので、捨てずに飲んでくださいね。乾物の豆を煮るのって手間がかかりますが、こういったうれしいおまけがついてくるのがいいですね♪

小さいカップで分けて飲むのがおすすめ。

注意

体のうるおい不足、冷え性で尿量が少ない場合、小豆を食さない方が良いとされています。

小豆ごはん

冬至の朝、小豆ごはんを作りました。前日からゆでておいた小豆をお米に混ぜて炊くだけ。もち米を入れれば赤飯になりますね!黒米も入れて、エイジングケアも狙ってみました。

中国の冬至の食べ物

一方、中国で冬至といえば、日本とは少し違う様子。解毒のために小豆粥を食べるほか、体を温めるぎょうざ、ワンタン、もち米で作る団子など、地方によっても食べるものが異なるようです。台湾で冬至の食べ物といえば、台湾式ぜんざいの湯圓(たんえん)が有名。日本とはだいぶ違いますね。





中国風に冬至ぎょうざ

かぼちゃなど「ん」のつくものもいいですが、中国風に「冬至ぎょうざ」はいかが?あんにえび、ねぎ、しょうが、にんにく、ニラなどを加えれば、冬の養生にぴったり・温め力バツグンのぎょうざが完成!

冬至から大寒に向かって、さらに寒さが厳しくなります。腎を養う食事、体を温める食事を意識して元気に乗り切りましょうね。

キョウ
本年も残りわずかですが
あと少し、よろしくお願いいたします〜♪


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