お寺で「薬草料理」!薬草のまち奈良県宇陀市へ

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こんにちは!キョウです。前回、奈良県宇陀市を訪れた話を書きましたが、今日はその続き。薬草料理のことをレポートします。

大願寺の薬草料理

今回私が薬草料理をいただいたのは、宇陀市にある「大願寺」さん。創建はなんと推古天皇時代、聖徳太子が蘇我馬子に命じて建立させたといわれる歴史あるお寺です。お寺の境内のお庭も美しく、とても趣があります。

  • ◆宇陀の歴史
  • 飛鳥時代…「阿騎野(あきの)」と呼ばれる宮廷の狩場
  • 戦国時代…「宇陀三将」と称された秋山氏が城を築く。その麓に栄えた城下町が宇陀松山地区の始まり
  • 江戸の初め…織田信長の次男、信雄から4代に渡り織田宇陀松山藩として栄え、「宇陀千軒」と呼ばれるほどの賑わいを見せる。その後宇陀松山藩は幕府領となる
  • 近代…宇陀紙や吉野葛、薬種などの名産品があり、郡の政治経済の中心地、交通の要所として栄える

宇陀の歴史には織田信長の次男信雄からの4代に渡る織田宇陀松山藩時代がありますが、大願寺は織田家の祈願所として厚く信仰されたそうです。

ちなみに、この門の上の「薩埵山」というのは織田信武公(4代目)の直筆。

こちらでいただけるのが、ご住職であり料理長が作られる精進料理です。宇陀でとれる薬草や、お寺の畑でとれるもの、宇陀の名産である吉野葛を使っています。お店は不定休なので、予約が取れればラッキー!今回は、一緒に行った方のおかげで幸運にもいただくことができました。

薬草料理をいただく

最初に並んでいたのはこちら。どれも手の込んだお料理で、薬草や野菜がふんだんに使われています。精進料理なのでもちろん肉類は一切使われていません。

  • 市松羹
  • 酵素玄米
  • 豆腐田楽
  • 翡翠寄せ
  • 牛蒡酢漬け

ほんのり甘いトマトとかぼちゃのみずみずしい羊羹。説明してくださったご住職によると「玄米は体にいい面もあるけれど、皮が固すぎると消化しにくいから、2分づきがいいよ」とのこと。豆腐田楽の下に敷かれている葉っぱは「大きな三つ葉の一片」。メニューは年間を通して大体決まっていますが、季節に応じて「その日とれるものを使っています」とおっしゃっていました。

胡麻豆腐

胡麻豆腐は吉野本葛を使っているのでもっちり。舌の上でとろけます。

白和え

しめじやこんにゃくが入った白和え。上品な甘みとなめらかさがあります。

三種盛り

こちらは菊花、紅花、ヤブカンゾウの花の酢の物。さっぱりとした味わいで何より目に鮮やか。酸味が心地よく沁みます。

大豆肉・根菜

素材の味わいを生かした根菜の煮物。大豆肉は噛むとジュワッと旨味のだしがあふれます。

金針菜・クコの実

こちらは薬膳にも通じそうな一品。金針菜とヒメウコギ(五加皮)に、クコの実の赤が艶やか!薬膳でうこぎは湿邪と風邪による関節の痛み、むくみ、腰が重だるいなどの症状に使われます。

炒め煮

いたどり、人参、ごぼうが入ってシャキシャキ。薬膳でいたどりは筋肉、経絡、骨に侵入する風湿邪を取り除きます。

葛の刺身

そしてここで吉野本葛を使用した葛の刺身が登場!とってもきれいな透明です。「早く食べてくださいね」といわれたのは、すぐに色が濁ってくるからだそう。葛って特に味はないのですが、もっちりつるんと吸いつくような食感が涼を運んでくれます。

煮物

飛龍頭のあんかけ。すごいボリュームがあるので、これを食べるとだいぶお腹いっぱいになってきました。

天ぷら

薬草の葉の天ぷら!季節のものを使うそうですが、よもぎ、ゆきのした、当帰の葉に加え、なんと、ミントとなつめも!なつめの天ぷらはまるで甘いスイーツのようでした。ミントの葉を天ぷらに…!意外すぎましたが、とても爽やかな味でした。

ご飯

黒米のご飯ですが、ここまで黒いものを初めて見ました!黒いもの=補腎で、若返りできたかも?吸い物、漬物付き。

デザート

なんと左はどくだみのシャーベット!かなりどくだみの香りがしましたが、さっぱり&熱をとってくれました。フルーツ&自家製羊羹、甘酒もついています。

薬草茶

甘茶づる・どくだみ、アロエなど10種類の薬草茶。とても飲みやすいお茶でした。

薬草料理とご住職のお話

本日いただいた薬草料理。肉類を一切使っていないのにボリュームはしっかり、大満足。薬膳にも使われる薬草がふんだんに使われ、とてもおいしくいただきました。

そしてお料理を作ってくださったご住職は最後に、「今はなんでも簡単に食べ物が手に入る時代ですが、人と自然はつながっている。自分の五里四方のものを食べるといいですよ」と教えてくださいました。

人間と自然は切ってもきれない関係、自分のまわりで取れた作物を中心に食べるのがよい。まさにこれって身土不二の考え方ですよね。中医学薬膳の天人合一(天と人はひとつ)という考え方にも匹敵するなあと思いました。

興味を持たれた方は、お電話でお問合せしてみてください。

  1. 大願寺
  2. 公式サイト: http://www11.plala.or.jp/mrfitfuls/daigangi.htm
  3. 場所:奈良県宇陀市大宇陀拾生736
  4. TEL:0745-83-0325

薬の歴史が感じられる「薬の館」

森野旧薬園、大願寺とともに、宇陀市指定文化財「薬の館」にも行ってきました。宇陀市は薬のまち。薬の館=旧細川家住宅は、藤澤薬品工業株式会社(現アステラス製薬株式会社)の創始者、藤澤友吉の生家(母の実家)です。

この旧細川家は江戸時代末期の建物。町全体がこんな感じの建物でいっぱいです。

ポストカードをいただきました。「鐘馗(しょうき)」という中国の道教系の神様だそうで、疫病除け、魔除けの効験があるとか!藤澤薬品の東京支社の屋上にいたものがこちらに移ったそうです。

  • ◆売薬の発達
  • 漢方マニア、健康オタクとして知られる徳川家康。若い頃から出陣の時は必ず救急箱を携帯し、笠の裏に薬を入れていたので「御笠間薬」と呼ばれたそう。(ちなみに益智、藿香、乾姜を配合した暑気あたりの薬)
  • 薬の処方は平安時代以来、高貴な人だけのもの。門外不出とされていましたが、家康はこれを公開。売薬は幕府からの施薬として発達し、やがて一般的に販売されるようになります。
  • 幕府、武家による薬、寺院による薬、医師による薬、生薬屋による薬、行商品や香具師による薬とさまざまな薬が作られていったようです。

薬の館では宇陀と売薬の歴史や薬屋の看板、生薬、藤澤薬品の歴史なども展示されています。興味のある方はぜひ訪れてみてください。

薬の館は、かつての宇陀松山のにぎわいの面影を残す建物として大宇陀指定文化財に指定されています。

注目したいのが、この立派なお屋敷の看板。これひとつで家が買えるほどの価格だとか…!

  1. 宇陀市歴史文化館「薬の館」
  2. 場所:奈良県宇陀市大宇陀上2003番地
  3. TEL:0745-83-3988
  4. 休館日:毎週月・火曜日、祝休日の場合は水木曜日を休館 12月15日〜1月15日
宇陀のお菓子

最後に、宇陀のおみやげをご紹介。見た目はまるで厚揚げ!?でも実は「きみごろも」というお菓子です。ふわふわのメレンゲでできているので、口に入れるとしゅわっと溶けていく不思議な食感!

メレンゲは機械で泡立てるとうまくできないそうで、手でしっかり泡立てているのだとか。他のお店では食べられないそうなので、宇陀のお土産にいかがでしょうか。

きみごろも本舗 松月堂
奈良県大宇陀の和菓子店・きみごろも本舗 松月堂のオフィシャルサイトです
キョウ
観光や食事を兼ねてのフィールドワークってとても楽しいですね。
薬膳や薬草に関する場所、いろいろと訪れてみたいです♪


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