薬膳を学ぶなら押さえておきたい! 西洋医学・中医学・漢方の違い

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これから薬膳を学ぼうとしている人に待っているもの。それは「初めての言葉との出会い」です!薬膳と中医学は切っても切れない関係なのですが、「中医学って何?」と聞かれて、うまく答えられるでしょうか。今日は西洋医学、中医学、漢方、その違いについて簡単にまとめてみたいと思います。

西洋医学と漢方医学の違い

現代の一般的な病院は、西洋医学が医療のベースになっているところがほとんどですよね。江戸時代まで日本の医療は中国から伝わった「漢方医学」が中心でしたが、江戸の末期に「オランダ医学(蘭学)」が広がって以来、日本の医療ベースは西洋医学になりました。では西洋医学と漢方医学、何が違うのでしょうか?

違いはどう例えられる?

西洋医学と漢方医学の違いで、よく例えられるのがこちら。

西洋医学は木を見る、漢方医学は森を見る

西洋医学は不調(木)を見るのが得意、漢方医学は不調の部分だけでなく全身(森)も見るのが得意という特徴を表しています。

もうひとつ、中医師の先生に教わった例えがあります。

食べこぼしにハエが寄ってきたら…
ハエを殺そうとするのが西洋医学。

食べこぼしを拭き取り、ハエが寄り付かないようにするのが漢方医学。

この例えも、すごくわかりやすいですよね。木と森、食べこぼしとハエ。
どちらの例えも「西洋医学は対症療法、中医学(漢方)は根本治療が得意」ということを表しています。

  • 西洋医学が得意とする分野
  • 外傷、救急救命、臓器移植、細菌感染症など
  • 中医学(漢方)が得意とする分野
  • 生活習慣病、難病の根本治療など

どちらが良い悪いではなく、どちらにもいいところがある!ということで、中国では両方を融合するべく「中西医結合」の研究や治療が盛んに行われています。またアメリカ有名大学医学部や国立衛生研究所では、毎年莫大な予算をかけて漢方や代替医療の研究が進められているんですよ。

日本でも、医師の約80%が何らかの形で漢方薬を処方しているといわれるほど、漢方の存在感が増してきています。そして「中医学(漢方医学)」こそが、薬膳のベースになっている学問です。

中医学って何?

中医学は「中国伝統医学」または「中国医薬学」といわれます。
中医学は古代中国から何千年もの長きに渡って発展してきた古〜い医学…でも実は、すごく新しい医学でもあるんです。え?どういう意味?と思いますよね。

実は、現在の中医学が「ひとつの医学」としてまとまったのは、中華人民共和国が成立(1949〜)してから。それまでは、何千年も前から広〜い中国の各地にたくさんの伝統医学理論が存在している状態でした。それを政府の指導で整理し、まとめた医学が現代の中医学なんです。そして中医学と漢方の違いはこちら。

中医学と漢方の違い

  1. ▶︎中医学
    中国で発展
  2. 名称:中国伝統医学 中国医薬学
  3. 歴史:発祥は約4000年前。まとめられたのは1950年ごろ
  4. 特徴:古代中国の哲学などの理論に基づき、症状や体質を細かく分析して処方する
  5. ▶︎漢方
    日本で発展
  6. 名称:西洋医学の「蘭方」に対し中国伝来の医学「漢方」と呼ばれた
  7. 歴史:中医学と同じルーツだが、日本で独自に発展を遂げた
  8. 特徴:中医学と大体同じだが、症状Aには処方Bというように症状と処方が対になる

中医学は5〜6世紀ごろ、朝鮮半島経由で日本に伝来したといわれています。江戸時代に伝わった西洋医学を「蘭方」と呼んだのに対し、中医学を「漢方」と呼んで区別しました。

漢方は中医学がルーツなので、考え方はほぼ同じ。でも日本の気候風土や日本人の体質に合わせて発展確立したので、中医学と異なる部分も存在しています。

例えば
  • 中医学の「痰湿」を漢方では「水毒(水滞)」、「陰虚」を「傷津」と表現します。
  • また中医学のようにさまざまな観点から治療方法を決めるのではなく、症状=処方といった考え方が強く、見方によっては中医学に比べより実用的とも言われます。

漢方という言葉は日本独自

「漢方」も「漢方薬」も、日本でできた独自の言葉。なので中国には漢方という言い方はありません。また「漢方=中国から伝わった医学」という意味で、漢方というジャンルの中に、漢方薬、薬膳、鍼灸、推拿などが含まれています。

いずれも中医学の理論をベースにしているという共通点があります。薬膳と漢方薬は、兄弟のような関係だと私は思っています。ちなみに、中医学は韓国にも伝わって現地で発展しているのですが、そちらは韓方(ハンバン)と呼ばれています。

中医学と薬膳の関係

「中医学薬膳」といえば「中医学に基づいた薬膳」のこと。和薬膳や漢方薬膳といえば(単なるネーミングの場合もありますが)漢方の考え方を取り入れている場合があります。資格や学校を選ぶ際、自分がどの理論に基づいた薬膳を学ぶのか、知っておくといいですね!

例えば、薬膳コーディネーター(ユーキャン)薬膳アドバイザー養成講座(東京カルチャーセンター)の講座は、中医学に基づいた薬膳講座です。参考にしてみてください。

https://www.natugoyomi.com/post-340/

キョウ
中医学薬膳、難しいですが面白いですよ♪


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